デブは見通しが甘い

隠れてラーメンを食べるのが大好きだった

お小遣いも、バイトの給料も、会社員としての給料も、大体は食費に消えていった。

気が付いたらお金がない。そんなに良いものを食べている記憶はないのに。

 

高校生の頃から食卓には料理が並ばなくなった。

バイト先のコンビニの廃棄か、買い食いか、外食。大体それで育ってきた。

 

決心してまず検索するのはダイエットモニター。

飲み物はトクホの炭酸飲料。

 

もちろんエステも行った。

エステでダイエットに成功する人はエステに行かなくてもダイエットができる人だと感じながらサウナドームに入り、最高に吸収が良い状態でラーメンを食べた。

 

魔法で突然痩せたりしないかな。突然痩せたらみんなびっくりしちゃうな。

じゃあ、1か月に5キロペースで。ゆっくり痩せていかないかな。魔法で。

 

 

明るいデブでおなじみ、理系社会で男に囲まれて育ち、恋人には困らなかった。

会社に入ってから全てが変わった。

したことのない化粧を毎日して、同期からテラスハウスの感想を毎昼聞いた。

初めはキラキラした同期と行動を共にしていたために上司たちからもチヤホヤされた。しかしやがて真正のインキャオーラを感じ取られてキラキラ同期たちに距離を置かれると、誰も私を飲みに誘わなくなった。

 

(あれ、おかしいぞ…?私は明るいデブだぞ…?)

 

確かに性格は明るいかもしれない。

下手な化粧、荒れ放題の肌、ボサボサの髪の毛、手入れのされていない爪、処理の甘い体毛、だらしない服装。

全てが垢抜けない不潔なデブなのであった。

 

幸いエンジニアという職業は私には合っていたようで仕事は毎日楽しい。

キラキラ同期たちが技術は無くともセンスと持ち前のハッスルでズバズバと顧客を斬り倒し、泥水をすするような肉体労働をしている間に(全て誉め言葉)、私は社内に引きこもって淡々と技術を磨いた。毎日バグと戦い、少しでも綺麗で高速なコードを書いた。

つまり、彼らとは棲み分けに成功したのだ。

お互いを尊重し合い、足りない部分を補い合いながら生きていくことができている。

 

だからといって再びキラキラの仲間に入れてもらえる訳もなく、

ただの全てが垢抜けない不潔なデブであることには変わりがないのだ。

 

①技術はないが清潔感があり垢抜けているデブではない女

②技術は未熟で不潔で垢抜けないデブ女

③技術があり、清潔感があり垢抜けているデブではない女

この3人のうち、誰と一緒に仕事がしたいか。

③ > ① >>>>>>>> ② だろう。

①は泥水をすすって肉体労働ができる分③と並ぶくらいの勢いかもしれない。

 

つまり今のままでは選ばれないのだ、私は。

 

正直勤務先は悪口を言おうと思えばいくらでも言えるほどセクハラが横行する体育会系企業であり、その上給料も少ない(多くはない)

 

抜け出したい、できれば。

もう少しお金をもらって、できればセクハラがない会社に行きたい。

 

選ばれる人間になるためにやるのだ、私は。

 

ここまでに7キロ痩せて2キロ戻ったが、今やるべきなのだ。

 

ここまで書いて、何も計画せずにそのまま寝た。

 

自分語りばかり達者で、何もしない。

デブは見通しが甘いのだ。