会社でクラスターが起こるとどうなるか
そんなのクラスターになってみないとわからないよね。
なったんですよ。
会社でクラスターが発生した。
これは管理者視点ではなく、スタッフ視点での記録です。
※特定を防ぐためにフェイクを混ぜていますが、部内の人間が読めば一発でバレます
気にしていないです。部内での体裁よりも、社内では未だに隠されている本当のストーリーのほうが大切です。
あれはまだアメリカの大統領選が盛り上がっていた頃の話。
同じ部署のメンバーが約20人集まり、どんちゃんやってくれたのだ。
一次会→二次会→三次会(カラオケオール)という完璧なムーブをかましてくれたのだ。
部署では学生のようなバカ飲みをするメンバーが非常に多く、回し飲み、食器の共有、下半身露出などは日常茶飯事であり、今回もいつもと変わらない宴会をしたのだという。
部のトップも、他部署の管理職も参加する派手な宴会であった。
参加者の中に宴会中に発熱していたメンバー(以降、源さん~みなもとさん~とする)がいたようで、その人から感染が広がった。
ちなみに源さんは新幹線に乗らないと来られない事務所の人で、この宴会のためにわざわざ出張扱いで来た。来たときには既に体調が悪かったみたい。かわいそう。(頭が)
宴会から一週間ほど経って部内で発熱者が増え始めてきたタイミングで源さんが陽性と診断された。
部内ではすぐに宴会の参加者が集められ、綿密な事実確認と口裏合わせが行われた。
どうやら一次会までで解散したことにしたかったようだが結果的に人事に全てバレてしまい、社長からも保健所からも大目玉を食らうことになった。
ちなみに、私ことさいとうがこの宴会に参加していたかというと、当然ノーだ。
え~~???行くでしょ~~???という体育会系お決まりの誘いは受けたが断って仲のいい先輩と残業をして帰った。
あいつら、コロナになっちゃうんじゃねーの。笑
なんて話をしながら帰った。
そもそも社内ではここまで感染者がゼロだったこともあり、色々と手続きがあったのか部内でも正式なアナウンスが出たのは源さん陽性の一報から4時間経ってからだった。
その時点で既に宴会の参加者は全員帰宅させられており、残された者たちも宴会の日以降の行動報告をし次第帰宅させられることになった。
私は宴会には参加していなかったが、その日源さんが一日中作業をしていた隣の机で仕事をしていた。
もし、自分が陽性者だったら。そう考えると怖くて電車を使って帰ることができず、レンタサイクルで帰った。
帰宅してすぐにお風呂に入って部屋の換気をした。
家族にも連絡をして私の部屋には立ち入らないようにしてもらった。
その日の夜に会社から、今回は宴会に参加した者だけが濃厚接触者であると認定されたこと、部内の全員が民間のPCR検査を受けて陰性証明書を出さない限りは出社禁止になることがアナウンスされた。
その日が金曜日だったこともあり、土日でも検査をやっている都内のクリニックがいくつか共有されたが、ほぼ全員が東京都に住んでいないのにわざわざ電車に乗って都内まで検査を受けに行かされる意味が分からなかったので行かなかった。
徒歩で行けるクリニックを月曜日に予約した。(キレ気味)
ちなみに都内のクリニックに行った人たちは月曜日まで待って近所のクリニックに行った人たちのことを責めていた。
自分が陽性だったとしても都心に出てでも早く結果を出すのが正義なのか、多少時間がかかってもなるべく公共交通機関を使わずに検査を受けるのが正義なのか。正直私には判断できません。
私がPCR検査を受けたことによって今度は家族が出社禁止になった。
私の陰性が判明するまでは自宅待機になってしまったのだ。
我が家ではそれくらい(待機日数×日給×待機人数(円))しか影響がなかったが(3~4万円くらいですかね???????????????)、家に妊婦がいる人、持病のある家族がいる人、高齢の両親と一緒に暮らしている人など部内には本当に様々な状況の人がいた。
全員が口を揃えて「許せない」と言った。
陰性が判明しても正直会社になんて行きたくなかった。
やっぱり怖いものは怖い。
この頃には発熱していたメンバー全員の陽性が判明し、無症状の陽性者も増え、それに伴って部内で保健所から濃厚接触者と認定された人が爆増していた。
つまり、居室にはほとんど人がいなく、電話番役や不十分なテレワーク環境をハード面で整える役が必要ということで、陰性が判明した人から順次出社を余儀なくされたのであった。
前述のとおり私は月曜日に検査を受け、火曜日に結果が出たため、水曜日からの出社になった。
出社すると、待ってましたと言わんばかりに雑務の山を押し付けられた。
大規模飲み会に参加していない(誘われていない)人で部内の調整業務や雑務を積極的に請け負っていた人はおらず、雑務経験の多い私に白羽の矢が立ちまくったのであった。
思えばそれも不公平だよね。私だって普通に仕事がしたかった。
無症状の陽性者と、宴会に参加して陰性だった人は家でのびのびお仕事できるんだもんね。いいなあ。私も参加すればよかった。
お客さんからの電話を取り、担当者が不在にしていることを謝罪した。
テレワークをしたことのないパートナー会社の皆さん(一番の被害者)のために社内を駆けまわってノートPCとVPNアカウントを手配した。
宴会に参加した上司からは我慢してくれと連絡が来ていた。
さすがに怒っていた。怒りでどうにかなりそうだった。
辞めよう。倫理観が合わない。そう思った。
本来このブログはダイエットをして素敵な結婚式と転職をするぞ~☺
という目的で開設したのだが、私はこのタイミングで本腰を入れて転職活動を始めた。
体型とかもうどうでもよかった。転職活動は終わったので今度書きますね。
毎日先輩とSlackで文句を言い合いまくった。それくらいしかできることがなかった。
上司にも長文の文句メールを送った。クレーマー社員だと思われたかな?
でもそれくらいしかできることがなかった。
結局、参加者の約半分が感染していた。
宴会の参加者以外で陽性になった人は一人もいなかった。
しばらくして宴会に参加しても陰性だった人たちが隔離期間を終えて出社してきた。
当然謝罪と、当初隠ぺいしようとしていたこと、上司が参加した理由など丁寧に説明してもらえると思っていた。
陰性だった人たちは何事もなかったかのようにヘラヘラしながら戻ってきた。
源さんも含めてスタッフレベルの参加者たちは懲戒処分にもならなかった。厳重注意と、反省文の提出を求められていた。
反省文は代表の一人が書いて、あとはそのフォーマットを使いまわして提出したと聞いた。そうだよね、反省文とかダルいもんね!
陽性だった人たちも回復を待ってヘラヘラ復帰した。
誰も重症化しなくて本当に良かったね!
私たち被害者たちは他部署の人とトイレで会う度にいやな顔をされたり質問攻めに遭ったりした。
他の部署の人たち、みーんな言ってたよ。ありえないよねって。
最終的に部のトップから簡単な謝罪があって終わった。
何も説明はしてもらえなかった。
最後の一人が出社してきた日に会社は終息宣言を出した。
こうして、わが部署の宴会クラスターは幕を下ろした。
もう全員、何事もなかったかのように働いている。
あれからわが部署では飲み会は開かれていない。
わけもなく。
被害者たちはかなり気を付けて生活をしているように見える。
ランチも自席でとるし、そもそも飲み会はしない。
部署のトップは闇営業をしている居酒屋を見つけ出して今もしょっちゅう飲みに行っている。
陽性になった同僚はSNSで楽しそうな飲み会風景を毎週のようにアップしてくれている。
誰も、何も、変わっていない。
一人暮らしだから、高齢者と同居していないから、感染しても問題ないと思っているんだろうか。
事実、近頃はそういう考えの人も多いように感じるし、私自身もこのクラスター騒ぎまではそう思っていた。
職場で感染者が出ると家族が仕事に行けなくなり、収入が減るなんて思っていなかった。
それが部署のメンバーの全員の家で起きていて、その上重症化リスクが高い人と同居している人もいる。一体いくらの損失なんだろう。
思いのほか影響範囲は広く、また、影響は健康被害だけではなかった。
自分はエンジニアだから家でも働けるじゃん~とか関係ないんだよ。家族はエンジニアじゃないんだから。
そういえば忘れていたけど、私はこの騒ぎで推しの卒業コンサートにも行けなかった。
すごく良い席だったんだけどね。譲りました。
家で泣きながら配信を見ました。悔しくて泣けてしまった。
言葉を選ばないのであれば、こんな状況を作り出してしまうほど人の理性を無くすのが酒なら、酒類の提供禁止は当然だと思う。
この一件から人が酒飲んで喋っている姿を見ると声がでかいな、とか今ツバが思いっきり飛んだな、とか今この人には近寄らないでおこうとかそんなことばっかり気になってしまうし自分を守るためにも相手を悪者にしないためにもそれは正しいと思っている。
喋るときにマスクをずらしてしまう癖がある人、その癖に気づいていますか?
酒飲んで声大きくならないですか?気づいていないだけです。
気づけなくなるのが酒です。
私もお酒が好きだから、お酒を悪者にしないためにできることをしたい。
もう同じ思いをするのは絶対に嫌だし、被害者になる人も加害者になる人も少ないに越したことはないので、この記事を読んだ一人でも多くの人が宴会の開催を思いとどまってくれたら本当に嬉しく思う。
さいとう